すくすくベリー研究所
発達心理学

「わかっているけど、頼ってしまう…」未就学児のスクリーンタイムと親のホンネ

📄 Parental perceptions of preschooler screen time and physical activity in Chennai.

✍️ S, N, J R, A, Kanniappan, V, S, S

📅 論文公開: 2025年1月

スクリーンタイム 身体活動 幼児期 親のサポート

3つのポイント

  1. 1

    未就学児の親は、画面の見過ぎが睡眠や集中力に悪影響を与えると理解しています。

  2. 2

    一方で、家事中の時間つぶしや癇癪を落ち着かせるために、やむを得ず画面に頼ってしまう現状が浮き彫りになりました。

  3. 3

    身体活動の重要性も認識されていますが、安全な遊び場の不足などの障壁があり、具体的なサポートが求められています。

論文プロフィール

  • 著者: S, N ほか
  • 発表年: 2025年
  • 調査対象: インド・チェンナイに住む未就学児の母親11名
  • 調査内容: 幼児期のスクリーンタイム(画面を見る時間)と身体活動についての親の認識や、日々の実践状況を深掘りするインタビュー調査。

エディターズ・ノート

「スマホやタブレットを見せすぎないほうがいい」と頭ではわかっていても、現実の育児では頼らざるを得ない場面がたくさんありますよね。今回は、そんな親御さんたちの「リアルな葛藤」を浮き彫りにした最新の研究をご紹介します。

実験デザイン

本研究は、未就学児の母親11名に対する1対1の対面インタビューで行われました。数値で効果の大きさを測るのではなく、親御さんたちが日々どのように感じ、どのような壁にぶつかっているかを言葉から分析するアプローチが取られています。

インタビューから見えてきた「親がスクリーンタイムに頼る理由」の傾向を、概念図として表現します。

親がスクリーンタイムを利用する主な理由(概念図) 0 16 32 48 64 80 言及の頻度(イメージ) 80 家事中の時間確 65 癇癪を落ち着かせる 40 学習の補助
親がスクリーンタイムを利用する主な理由(概念図)
項目 言及の頻度(イメージ)
家事中の時間確保 80
癇癪を落ち着かせる 65
学習の補助 40
親がスクリーンタイムを利用する主な理由(概念図)

古典知見との接続

親が子どもと一緒に遊び、少し難しいことに挑戦できるようサポートすることは、 足場かけ(スキャッフオーディング) と呼ばれ、子どもの発達を促す重要な関わりです。

また、大人が関わりながらデジタルメディアを一緒に楽しむことは、 発達の最近接領域 (子どもが一人ではできないが、サポートがあればできる範囲)を広げる可能性を持っています。

すくすくベリーとしての解釈

私たちは、「スクリーンタイム=悪」という単純な前提でアプリを設計することはありません。本論文が示す通り、親御さんたちはすでに「見せすぎは良くない」と十分理解しつつも、日々の家事や子どもの機嫌のコントロールという現実的な問題に直面しているからです。

この研究の知見は、すくすくベリーが学習ログを解析する際の重要な土台となります。たとえば、子どもが一人で長時間デジタル機器に触れているログを検知した場合、「時間を減らしましょう」と正論をぶつけることはしません。「今週は家事やお仕事でお忙しかったのですね。明日の10分間だけ、画面を使わないこんな体遊びを一緒にしてみませんか?」と、各家庭の状況に寄り添った具体的な代替案を提案する。そのような、親の伴走者としてのAIを目指しています。

また、安全な遊び場が少ないという物理的な障壁に対しても、0歳から18歳までを見据えたプラットフォームとして、室内でも親子でできる効果的な運動や、思春期以降の健康的なデジタル習慣の構築など、幅広い年代への実践的なサポートへと発展させていきたいと考えています。

【今日からできる実践ヒント】 画面を見せる時間を「ゼロ」にするのではなく、「一緒に見る時間」を少しだけ作ってみませんか?動画の中で起きていることについて、「わぁ、すごいね!」「次は何が起こるかな?」と声をかけるだけでも、受け身の時間から「親子のコミュニケーションの時間」へと質が変わっていきます。

読後感

日々の育児の中で、どうしてもスマホやタブレットに頼ってしまうのは、決して「手抜き」ではなく、目の前の状況を乗り切るための「工夫」でもあります。あなたのお子さんは、どんな動画やアプリに一番夢中になっていますか?