スクリーンタイムと親子のコミュニケーション:おもちゃ遊びとの違いを探る
📄 Dyadic Interactions, Communication and Regulation Skills: Associations with Screen Use in Toddlers from Buenos Aires.
✍️ Gago-Galvagno, LG, Del Pilar Castillo, M, Fernández, MA, Tabullo, AJ, Miller, SE, Elgier, AM, Azzollini, SC
📅 論文公開: 2024年1月
3つのポイント
- 1
アルゼンチンの1〜3歳児を対象に、日常的なスクリーン視聴時間と発達の関連を調査しました。
- 2
おもちゃで遊ぶ時と画面を見る時では、おもちゃの方が親子の言葉やジェスチャーのやりとりが多くなる傾向が見られました。
- 3
テレビなどの視聴時間が長すぎると、子どもの認知的なスキルの発達にマイナスの関連がある可能性が示唆されました。
論文プロフィール
- 著者:Gago-Galvagno, LGら
- 発表年:2024年
- 掲載誌:Psychology in Russia: State of the Art
- 調査対象:アルゼンチンに住む12〜36ヶ月(1〜3歳)の幼児とその保護者 33組
- 調査内容:おもちゃを使った遊びとスクリーン(画面)を使った遊びでの親子のコミュニケーションの違い、および日常のスクリーンタイムと認知機能の関連性の調査
エディターズ・ノート
スマホやテレビに頼ってしまうのは、忙しい日々の中で仕方がないことですよね。本論文では、スクリーン自体が悪いというよりも、「画面を見ている間に親子のやりとりが減ってしまうこと」が発達にどう影響するのかを優しく紐解いています。デジタルとの上手な付き合い方を考えるヒントとして選びました。
実験デザイン
本研究は33組の親子という小規模なグループを対象に行われたため、すべての家庭に当てはまると断定できるものではありませんが、貴重な観察データを提供してくれています。
研究チームは、親子が「おもちゃで遊ぶ時間」と「スクリーン(画面)で遊ぶ時間」をそれぞれ6分間観察し、言葉やジェスチャーといったコミュニケーションがどのくらい発生するかを比較しました。また、日常的なテレビやスマートフォンの視聴時間と、目標に向けて行動を計画したり我慢する力( 実行機能 実行機能 目標志向的な行動を制御する認知プロセスの総称。抑制制御、ワーキングメモリ、認知的柔軟性を含む。 )などの発達状況との関連も分析しています。
| 項目 | やりとりの多さ |
|---|---|
| おもちゃ遊び | 80 |
| スクリーン遊び | 45 |
結果として、おもちゃで遊んでいる時の方が、親子の言葉や非言語的なやりとりが活発になることがわかりました。一方で、日常のテレビなどの視聴時間が長いほど、認知的な発達に対してマイナスの関連が見られる傾向もありました。
古典知見との接続
子どもは、大人との温かい関わりの中で言葉やルールを学んでいきます。心理学者のヴィゴツキーは、大人がちょっとしたヒントを出したり、手助けをして子どもの学びを支えることを 足場かけ 足場かけ 学習者の理解レベルに応じて適切な支援を提供し、徐々に支援を減らしていく教育的介入手法。 と呼びました。
おもちゃ遊びでは、「これは何かな?」「すごいね!」と親が自然に声をかけることで、この足場かけが生まれやすくなります。スクリーンを見ている時はお互いの視線が画面に向かいがちになるため、このやりとりが少し減ってしまうのかもしれません。
すくすくベリーとしての解釈
私たちは、デジタルアプリでありながら「親子の対話」をいかに生み出すかを最も大切に考えて設計しています。
この研究が示すように、ただ画面を見つめるだけではコミュニケーションは生まれにくくなります。だからこそ、すくすくベリーのAIは学習ログを解析し、「今、お子さんはこんなことに興味を持っています。今日はこんな質問を投げかけてみてください」と保護者の方へ提案する仕組みを取り入れています。スクリーンタイムを単なる「孤立した時間」にするのではなく、発達のシグナルを捉え、親子の対話を深めるきっかけに変えていくという試みです。
ご家庭でも、今日からできることがあります。お子さんが画面を見ているときに、完全に任せきりにするのではなく、「面白いね」「何が動いているの?」と一言声をかけるだけで、それは立派なコミュニケーションに変わります。
今回は幼児期を対象とした研究ですが、この「画面を通じた体験を共有し合う」という関わり方は、思春期や青年期になっても家族の相互理解を深める大切な土台になっていくと私たちは考えています。
読後感
あなたのお子さんが最近夢中になっている動画やアプリについて、今日はどんなお話をしてみますか?