すくすくベリー研究所
発達心理学

思春期のデジタルメディア接触と対人関係〜強い刺激がパートナーシップに与える影響〜

📄 Adolescents' Pornography Exposure, Sexually Dominant Behavior, and Partnered Sexual Satisfaction: Replication in a U.S. Probability Sample.

✍️ Wright, P. J., Herbenick, D., Tokunaga, R. S.

📅 論文公開: 2026年1月

思春期 デジタルメディア 対人関係

3つのポイント

  1. 1

    思春期の若者がポルノグラフィに触れる機会が多いほど、パートナーに対して支配的な振る舞いをとる傾向が確認されました。

  2. 2

    パートナーを支配しようとする行動は、互いの関係性に対する満足度を下げる要因になる可能性があります。

  3. 3

    サンプル数が限られているため断定はできませんが、デジタルメディアが青少年の人間関係に与える影響についてさらなる調査が必要とされています。

論文プロフィール

  • 著者名: Wright, P. J., Herbenick, D., Tokunaga, R. S.
  • 発表年: 2026年
  • 掲載誌: 査読付き国際学術誌(DOI: 10.1007/s10508-025-03297-x)
  • 調査対象: 米国を代表する確率標本から抽出された思春期の若者59名
  • 調査内容: ポルノグラフィ(性的に強い刺激のあるメディア)への接触頻度が、パートナーとの関係性において支配的な行動や満足度にどう影響するかの追試研究

エディターズ・ノート

スマートフォンやタブレットを通じて、子どもたちが強い刺激を持つコンテンツにアクセスしやすい現代。それが子どもの心や人間関係にどんな影響を与えるのかは、多くの保護者にとって大きな関心事です。今回は、思春期のメディア接触とパートナーシップに関する最新の研究を通じて、対等な人間関係を育むためのヒントを探ります。


実験デザイン

この研究は、過去に報告された知見(ポルノグラフィへの接触が多いほどパートナーに対して支配的になり、それが関係性の満足度を下げるという仮説)が、別のデータセットでも同じように確認できるかを確かめる「追試研究」です。

結果として、過去の研究と同じ方向性の傾向が確認されました。しかし、今回のデータはサンプル数が59名と少なく、統計的な確実性(有意性)を強く主張するには至っていません。そのため著者らは、時間を追って変化を観察する 縦断研究 や、より大規模な調査が必要であると誠実に結論づけています。

ポルノグラフィ接触と支配的行動の関連(概念図) 0 13 26 39 52 65 支配的行動の傾向(概算スコア) 35 接触頻度が低い 65 接触頻度が高い
ポルノグラフィ接触と支配的行動の関連(概念図)
項目 支配的行動の傾向(概算スコア)
接触頻度が低い 35
接触頻度が高い 65
ポルノグラフィ接触と支配的行動の関連(概念図)

古典知見との接続

発達心理学者のエリクソンは、青年期(思春期)における重要な発達課題として「親密性」の獲得を挙げています。これは、相手を自分の思い通りに支配するのではなく、自分と相手を対等な存在として認め合い、深く信頼できる関係を築いていく力のことです。インターネット上の作られた「支配・従属」のイメージを現実の人間関係に持ち込まないためのリテラシーは、この時期の健やかな発達において非常に重要になります。


すくすくベリーとしての解釈

すくすくベリーは、0歳から18歳までの全ての成長フェーズを支援する教育プラットフォームを目指しています。幼児期の遊びの記録から始まるAI解析は、やがて思春期を迎えた子どもたちが「他者を尊重し、対等な関係を築く力」をどう獲得していくかを見守るサポートにも繋がると私たちは考えています。

この研究の知見は、すくすくベリーが将来的にコミュニケーションやデジタルメディアとの付き合い方に関する学習ログを解析する際に、「相手を思いやる発言ができているか」「作られた情報と現実を切り分けて考えられているか」といった行動パターンを、重要な発達段階のシグナルとして捉えるという設計判断の背景にあります。私たちは、AIが一方的に評価するのではなく、保護者と子どもの温かい対話を促すための客観的な指標を提供したいと探求を続けています。

【ご家庭での実践ヒント】 思春期のお子さんからインターネットやメディアを完全に取り上げることは現実的ではありません。「ネットの世界には、現実の人間関係とは違う極端な情報もある」ということを、日常の何気ない会話の中でフラットに伝えておくことが、いざという時の防御力になります。


読後感

お子さんがインターネット上でショッキングな情報や極端な価値観に出会ったとき、一人で抱え込まずに「こんなのを見たんだけど…」と話せるような関係性は、どのように育んでいけるでしょうか? まずは保護者ご自身が、日頃から「フラットに話を聴く姿勢」を見せることが、その第一歩になるかもしれません。